トラック野郎 御意見無用
Truck Rascals
監督:鈴木則文
出演:菅原文太(一番星桃次郎)
愛川欽也(やもめのジョナサン)
中島ゆたか(マドンナ)
湯原昌幸 (千吉)
佐藤允 (ドラゴン)
春川ますみ(ジョナサンの妻)
1975年 東映
ご存知「トラック野郎」。
そのシリーズ第一作目がこの「トラック野郎 御意見無用」です!
トラック運送に携わる男たちの破天荒な活躍、そして哀感を描いたこの作品。
そのスタイル/作風は東映ならではのものなんですけれど、でも要するにこれって東映版「男はつらいよ」ですね。(笑)
松竹映画の超ロングヒット作品。 「男はつらいよ」シリーズ。
東映も、アレをやってみたかったと。(笑)
この映画、その積りで見てみると実に判り易かったです。w
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菅原文太扮する腕利きのトラックドライバー、一番星桃次郎たちの駆る、いわゆる "デコトラ"。
この映画の主役ともいえる、街道を突っ走る大型トラックですけれど。
そういえば、あの頃随分と流行りましたねぇ。(笑)
大きな車体のどてっ腹にド派手(そして大胆な)な絵を描いて、その上電飾を(ギンギラギンに w )飾り付け、更には全身にキラキラしたアクセサリーを纏わせた大型トラック。
今ではさっぱり見掛けなくなりました。
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この映画で菅原文太の扮する一番星桃次郎という男。
トラックの扱いに長けており、腕っぷしも滅法強いが、その分喧嘩っ早く、とにかくおっそろしく単純明快な性格。(^^ゞ
その男っぷりの好さから女たちにモテ、同業のトラック運転手たちからも愛される好漢!
そして(いわゆる)呑む・打つ・買う の内、「呑む」と「買う」に取り分け目がない、いわば本能の命ずるままに生きているような男 w ですが、なにより、美女に弱い。(笑)
一番星桃次郎。 松竹映画のフーテンの寅さんと一線を画す、東映ならではの主人公の登場です!
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菅原文太が、その代表作「仁義なき戦い」(東映)を大ヒットさせたのは1973年のこと。
それと(ほぼ)並行する形で撮られたのがこの「トラック野郎」というワケなんですね。
菅原文太がコメディアンとしての才能を十全に発揮している本作。
これで、同時期に「仁義なき戦い」の昔気質/ストイックなヤクザ、広能昌三を演ってたんですからねぇ。(@_@)
硬軟を巧みに演じ分ける菅原文太という役者の、その演技の幅の広さたるや、凄いモンがあります。
喧嘩となれば向かうところ敵なしの桃次郎。(もっとも、ライバル役・佐藤允とは目も当てられぬドロドロのラフ・ファイトを繰り広げますけれど w )
映画全編に渡って、溢れんばかりの漢気を見せてくれる一方で、時にユーモラスな面もあり、そのズッコケぶりが可笑しくって、そしてとってもお茶目。(^ァ^)
相棒役の愛川欽也ともども、憎めないイイ男たちです。
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「寅さん」シリーズで、誰にでも安心して見て貰える映画を目指した松竹映画。
山田洋二監督は下町の人々/庶民の暮らしを活写つつ、しかし「呑む・打つ・買う」の表現を徹底して避けました。
老若男女、誰もが安心して見ることが出来、そして愛される映画を造る。
この方法論によって、広くファミリー層を取り込んだ「寅さん」。
その成功は、シリーズの超長期化へと繋がりました。
一方、東映はそれに対抗するべく撮った「トラック野郎」で、「寅さん」と正反対とも言える路線を打ち出しました。
つまり、乱暴者で言葉よりも先に手の出る(でも根は優しく仁義に厚い)奴。
呑んで・暴れて・風俗通いも欠かさないけれど、一旦マドンナ(そう、トラック野郎にもマドンナが居るんです)を前にすると何も出来なくなる純情男。w
それが本作の主人公、菅原文太扮する一番星桃次郎というトラックドライバーなのでした。
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ホント、観客を選ぶにも程がある映画です。(笑)
幾ら東映とは言え、ここまで視聴者を(成人男性のみに)絞り込まなくともよさそうなモンですけれど。(笑)
でも、これが当時の東映の気風ってことなんでしょうか?
豊富なアクション、おバカなギャグ。
更には人情話しや恋愛要素もあり。 全編に渡って至極明るい作風なんですけれど。
でも、良い子には見せられないナァ。 やっぱり。(^^ゞ
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ここに描かれるトラッカーたちの暮らし/文化、そして彼らを取り締まる警察との攻防。
ロードサイドで日々の費えを稼ぎ出し、逞しく生きる者たちの世界。
乱暴で、無教養で、でも気さくで暖かく、ホットな連中(時にホット過ぎることも w )。
随所に用意されている派手な(そこは東映らしく)乱闘シーンの数々は、「寅さん」の喧嘩シーンがじゃれあいに見えて来ました。(笑)
流通の末端で高度成長期を支えた陸運の世界を、大胆かつコミカルに描いています。
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松竹「寅さん」が下町を舞台にしたファンタジーであったように、この「トラック野郎」ってトラック運転手の世界を舞台にしたファンタジーですね。
「寅さん」と比べて、尚のこと猥雑で、更にエネルギッシュで下世話。
なによりお下品。w
見る人を選ぶのは、マァ仕方のないところですね。(笑)
あくまでもグッと肩の力を抜いて、お気楽に気楽に見るべき映画です。(^ァ^)
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